「縮毛矯正とカラー、どちらを先にすればいい?」「同じ日にまとめてできる?」——この質問は、縮毛矯正やカラーを両方行っているお客様から最もよくいただくものです。結論からいえば、基本の順番は縮毛矯正が先・カラーが後であり、同日施術は条件によって可否が変わります。なぜそうなのか、化学的な理由と実際の判断基準を美容師の視点で解説します。
なぜ順番と間隔が重要なのか
縮毛矯正とカラーはどちらも毛髪に化学的な変化を起こす施術ですが、使用する薬剤の性質が根本的に異なります。この違いを理解することが、順番・間隔を考えるうえで欠かせません。
縮毛矯正薬剤の性質
縮毛矯正では一般的にアルカリ性の還元剤を使います。アルカリはキューティクルを大きく開いて薬剤を内部に浸透させ、SS結合(ジスルフィド結合)を切断します。その後、熱処理でタンパク質を変形させ、酸化剤で結合を再形成します。このプロセスで毛髪は大きくダメージを受けやすい状態になります。
カラー薬剤の性質
アルカリカラー(一般的な白髪染め・おしゃれ染め)もアルカリ性で作用します。キューティクルを開き、酸化染料を内部に浸透・発色させます。カラーによってもキューティクルへのダメージが生じ、毛髪の強度は低下します。
基本の順番:縮毛矯正 → カラー
縮毛矯正を先に行うのが一般的に推奨される理由は、主に2つあります。
①カラーの色が飛びにくい
縮毛矯正のアルカリ・還元剤はキューティクルを大きく開くため、すでに入っているカラーの色素を流し出してしまいます。カラーを先にしてから縮毛矯正をかけると、せっかく入れた色が大きく退色・変色するリスクがあります。縮毛矯正を先に行えば、カラーをその後にきれいに入れることができます。
②矯正後の髪に均一に染まりやすい
縮毛矯正でくせやうねりが整った状態の髪は、毛流れが均一になっています。カラー剤が均等に塗布・浸透しやすく、染まりムラが出にくいというメリットもあります。
没食子酸(タンニン由来)による毛髪の前強化
CLASSEでは縮毛矯正後にカラーを行う際、タンニン由来の没食子酸を活用しています。没食子酸はポリフェノールの一種で、毛髪のケラチンタンパク質と結合してタンパク同士の架橋を促す作用があります。この「前強化」の工程を挟むことで、アルカリカラーによるキューティクルの膨潤と毛髪の軟化を抑えることができます。
アルカリ膨潤による毛髪の軟化が縮毛矯正後カラーの最大のリスクですが、没食子酸で毛髪を事前に引き締めておくことで、そのリスクを大幅に低減できます。縮毛矯正とカラーを組み合わせたい方にとって、間隔だけでなく施術内容でリスクをコントロールできるのがCLASSEのアプローチです。
カラー → 縮毛矯正の場合のリスク
カラーを先に行う場合(または直近にカラーをしている状態で縮毛矯正をかける場合)は、以下のリスクを理解しておく必要があります。
- カラーの退色・変色:縮毛矯正のアルカリ・還元剤がカラー色素を流し、発色が変わることがある。特にアッシュ系・マット系など寒色系は影響を受けやすい
- ダメージの蓄積:カラーで一度開いたキューティクルに縮毛矯正のアルカリ剤が重なると、毛髪へのダメージが大きくなりやすい
- 軟化しすぎ・ビビリ毛:カラーによってすでに内部タンパク質が流出している状態の毛髪に還元剤が過剰反応し、過軟化が起きやすい
ただし、カラーとの間隔が十分にある場合や、縮毛矯正の薬剤選定・放置時間を慎重に調整することで、カラー後であっても縮毛矯正を施術できるケースはあります。重要なのは直近の施術歴の把握と、それに基づいた薬剤設計です。
同日施術(カラーと縮毛矯正を同じ日にする)は可能か
結論からいえば、条件次第で可能ですが、慎重な判断が必要です。
| 施術の組み合わせ | 同日可否の目安 | 主な条件・注意点 |
|---|---|---|
| 縮毛矯正 → アルカリカラー(同日) | 条件付きで可 | 毛髪のダメージ度が低いこと。施術時間が長くなるため毛髪への負担を十分考慮する |
| 縮毛矯正 → 酸性カラー・ヘアマニキュア(同日) | 比較的可 | 酸性カラーはキューティクルを大きく開かないため、縮毛矯正後の同日施術との相性が良い |
| アルカリカラー → 縮毛矯正(同日) | 原則非推奨 | カラー直後の毛髪に還元剤を重ねるとダメージが大きくなりやすい。少なくとも1〜2週間の間隔が望ましい |
| ブリーチ → 縮毛矯正(同日) | 不可 | ブリーチで大きくダメージを受けた毛髪に縮毛矯正の還元剤は過負荷。断毛・ビビリ毛のリスクが高い |
間隔の目安まとめ
| ケース | 推奨間隔 | 理由 |
|---|---|---|
| 縮毛矯正の後にカラー | 1〜2週間以上 | キューティクルが落ち着き、カラーが均一に入るようになる |
| アルカリカラーの後に縮毛矯正 | 2週間以上 | カラーによるダメージが落ち着き、過軟化リスクが下がる |
| ブリーチの後に縮毛矯正 | 施術不可〜数ヶ月 | ブリーチダメージの程度によるが、縮毛矯正は基本的に行えないケースが多い |
| 縮毛矯正の後にブリーチ | 非推奨 | 矯正でダメージを受けた毛髪にブリーチをかけるとリスクが高い。十分なトリートメントと期間が必要 |
微還元ストレートとカラーの相性
CLASSEで使用しているりんご酸システアミン中和物を用いた微還元ストレートは、通常の縮毛矯正と比べてカラーへの影響が小さいという特徴があります。
その理由は作用する領域の違いです。一般的な縮毛矯正はアルカリ領域で強くキューティクルを開くのに対し、システアミン系の微還元ストレートは酸性〜弱酸性領域で穏やかに作用します。キューティクルの開き方が少ないため、すでに入っているカラー色素を流しにくく、色持ちへの影響が抑えられます。
まとめ
- 基本の順番は縮毛矯正 → カラー。カラーの退色を防ぎ、均一な染まりが得られる
- 縮毛矯正後のカラーは1〜2週間以上間隔を空けるのが望ましい
- カラー後に縮毛矯正をかける場合は2週間以上の間隔と、毛髪状態に合わせた薬剤設計が必要
- ブリーチと縮毛矯正の同日・近接施術は原則として行えない
- 微還元ストレートは酸性側で作用するため、通常の縮毛矯正より色への影響が少ない
- CLASSEでは縮毛矯正後カラーの際に没食子酸(タンニン由来)で毛髪を前強化し、アルカリ膨潤による軟化リスクを低減している
- いずれの場合も、直近の施術歴・ダメージ度・カラーの種類を総合判断することが最も重要
CLASSE(クラス)について
東京都港区南青山/表参道駅徒歩3分
髪質改善に特化した完全マンツーマンの美容室です。縮毛矯正・微還元ストレート・カラーの組み合わせについて、毛髪の状態を診たうえで最適な施術順・間隔をご提案しています。
- 髪質改善・縮毛矯正:ダメージ毛・うねり・広がりへのアプローチ
- 微還元ストレート:りんご酸システアミン中和物 + ジマレイン酸シスタミンによる穏やかなうねり改善
- エイジングケア:加齢による髪のハリ・コシ・ツヤの変化に対応
参考文献
Robbins CR. Chemical and Physical Behavior of Human Hair (5th ed.). Springer, 2012.
Dario Gavazzoni Dias MF. “Hair Cosmetics: An Overview.” International Journal of Trichology. 2015.


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